不動産売買契約における瑕疵担保責任とは
特定物の売買契約において、その特定物に『隠れたる瑕疵(かし)』があったとき、売主は買主に対して損害賠償等の責任を負う場合があります。
このように、売主が買主に対して負うべき損害賠償等の責任を『瑕疵担保責任』と呼んでいます。
『特定物』とは、取引当事者がその物の個性に着目して取引するような物のことであり、具体的には、美術品、中古車、不動産(土地・新築建物・中古建物)などのことです。
また『隠れたる瑕疵』とは、買主が取引において一般的に必要とされる程度の注意をしても発見できないような、物の品質・性能に関する『欠陥・キズ』のことです。
例えば、中古住宅の売買において、売買契約・物件の引渡し後に中古住宅に雨漏りが発生し、その原因が売買契約当時に存在した屋根の欠陥であるならば、売主は買主に対して『瑕疵担保責任』を負うこととなります。*売買契約書上で『瑕疵担保責任』の取り決めがあった場合。
このような売主が負うべき『瑕疵担保責任』の具体的な内容は次のとおりです。
①.買主は売主に損害賠償を請求することができる。
②.瑕疵の程度が、売買契約の目的を達成できないほどに重大であるときは、買主は売買契約を解除できる。
③.瑕疵担保責任を追及できる期間は、民法上には特に定めがない。例えば契約書において『中古住宅を買主に引き渡した日から3ヶ月だけ売主は瑕疵担保責任を負う』と定めることも民法上は可能です。
④.損害賠償請求や契約解除ができる期間は『買主が瑕疵の存在を知った時から1年以内』に制限されている(これを『権利行使期間』という)。
★瑕疵担保責任の注意点
①.売買契約書上、瑕疵担保責任の期間の定めをしないと民法上は上記④に記載した通り、解釈上は『買主が瑕疵の存在を知った時から1年以内』ですので、例えば10年後に買主が瑕疵を発見した場合に売主は瑕疵担保責任を負わなくてはなりません。したがって、エンドレス(無期限)になってしまいますので通常は、2ヶ月から半年をめどに期間を定めます。
②.売主が宅地建物取引業者の場合、中古住宅・土地・マンションなどは宅建業法で期間は2年間と決められています。
③.売主が宅地建物取引業者の場合、新築住宅(建売)は10年間と決められています。
④.売主が個人の場合、買主が了承すれば瑕疵担保責任を免責することもできます。*売主が宅地建物取引業者の場合は出来ません。
以上のように瑕疵担保責任の取り決めは、売主にも買主にも非常に重要な事となりますので売買契約締結の前に必ずチェックしましょう!!