田園住居地域について
田園住居地域という住居系の用途地域が追加されます。田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定められる地域です。平成30年4月に都市計画法上の新たな規制の仕組みとして導入され、その後、各地域のまちづくりのプランの中で具体的な指定がなされていくことになります。
人々の快適で住みやすい暮らしのためには、計画的に都市づくりを進めなければなりません。計画的な都市づくりのための基本法は都市計画法であり、都市計画法に基づき、都市計画区域において、都市計画が決定されます。
都市計画区域内の都市計画としては、地域地区を定めることができます。地域地区は、土地の計画的な利用を図る目的をもって定められる制度です。地域地区の1つが用途地域です。従来12種類のものがありました。
田園住居地域創設の課題と背景
田園住居地域は、都市機能に農業が含まれるという考え方に立つ仕組みであり、今般の改正には農地を都市の構成要素として位置付けるという意義があります。
課題と背景
●宅地需要の沈静化・住民の都市農業に対する認識の変化→ 都市農地を都市にあるべきものへ
●マンション等の建設に伴う営農環境悪化の防止
●住居専用地域に農業用施設等は原則として建てられない状況への対応
田園住居地域内における建築制限
田園住居地域では、住居としての利用と農地としての利用の均衡を図ることを目的として、地域内の農地(耕作の目的に供される土地)について、土地の形質の変更、建築物の建築その他工作物の建設または土石その他の政令で定める物件の堆積を行おうとする者は、市町村長の許可を受けなければならないものとされます。
法令上の制限等として、田園住居地域内の農地における建築等の規制、および、田園住居地域内における用途規制に関する規定が加わります。
田園住居地域内における用途規制
低層住居専用地域に建築可能なもの
●住宅、老人ホーム、診療所等
●日用品販売店舗、食堂・喫茶店、サービス業店舗等(150㎡以内)
農業用施設
●農業の利便増進に必要な店舗・飲食店等(500㎡以内):農産物直売所、農家レストラン、自家販売用の加工所等
●農産物の生産、集荷、処理又は貯蔵に供するもの
●農産物の生産資材の貯蔵に供するもの
などが建築可能となります。